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模型塾 「実演:左右対称」 受講報告

10/4(土)に西日暮里で行われた、東海村原八さんの模型塾の「実演:左右対称」を受講してきました。
模型塾に関しては公式サイトを、本講座の位置づけに付いては公式blogをどうぞ。

毎週土曜日に行われている模型塾では、通常フリー枠として使われる17:00~の時間に、月イチ程度で今回のようなピンポイントのテーマの講座が行われます。
今回はかねてより要望の多かったらしい「左右対称」について。
mokeijuku_20081004_20.jpg

最初に一通りの方法論の説明、その後に原八さんによる顔とメカパーツによる実演。
作業中の原八さんを参加者がぐるっと囲んで見学するようなスタイル。

今回は男女比 2:3 位の、非常に華やかな講義となりました。

左右のズレを直して対称にしたいのだけどどうすれば?
-> 気にしないのが一番

意識して良く見ない限り、左右対称でなくても見る人が脳内で勝手に補正するのです。
これは造る側の人間にも言えることで、脳内補正が働くので非対称のまま造り続けてもわりと気づかない。
そんなわけで「自分が気にならないレベルなら、他の人も気にならない」というのが原八さん持論。

例)
ともさかりえは良く見ると明らかに口が歪んでいるが、気づいてる人は少ない(かもしれない)。
サムシング吉松はセガサターンのユニットが上下ズレている時に「ともさかりえになっている」と言った。

かように人間の脳は非対称を脳内で勝手に補正してしまうので、いかにそれを乗り越えて左右対称を出すか、というのが今回の主題です。

しかしながらフィギュア造形に限って言えば、それほど優先すべき事項ではなく、左右対称にこだわるあまりかえって可愛くなくなったり、デッサンが狂ってまともだった部分が変になったりと時に弊害も伴います。

常に念頭に置くべきようなものではなく、行き詰ってからリファレンス的に使うものと考えるくらいがちょうどいいと言えましょう。

以上!じゃなくて…

実際の方法論としては…
mokeijuku_20081004_21.jpg

■鏡に映す
見え方が変わるので、不自然さに気づく事がある。絵描きの人が紙を裏からすかして見るのと同じような意味合いです。原型師の竜人さんなどは作業場に鏡を置き、良く左右対称を気をつけているそうです。

■翌朝見る
連続して作業しているとズレに気づかないまま作業している事があるので、一度寝てまた見てみる。

■写真を撮る
デジカメか何かで撮影して、正面から撮ったものに中心線を引いてみる。-> 輪郭や顔パーツの非対称がわかる。
mokeijuku_20081004_22.jpg

左右から2枚撮影し、ソフトで鏡像反転し透明度を上げてレイヤを重ねてみると、左右の面の違いが一目でわかる。
mokeijuku_20081004_23.jpg
(市販のフィギュアはおそらくほとんど重ならない?)
これを応用して、造りたいものの正面・側面の設定画がある場合には、レイヤの一番下に設定画を置いて調整しながら造れば、元絵をトレースした様に似せて造る事が出来る。

■片目で見る
両目で見るから補正される。片目なら補正が効きにくくなるのでありのままが見えやすい。


●ズレやすい箇所について

■正面から見てわかる部分
mokeijuku_20081004_25.jpg
- 目の高さ
- 口・鼻がセンターからずれる
- ほほのふくらみ方が違う(ふくらみのピークの高さが違う)
- 耳の高さが違う

■上下側(頭てっぺん・あご側)から見てわかる部分
mokeijuku_20081004_26.jpg

- ほほの前方への出具合が違う
- 目の彫りの深さが違う
- 耳の前後方向の位置が違う
- アゴのラインの前後方向の位置が違う

■左右ズレていたとして、左右どちらに合わせるべきか?
・可愛く見える方にあわせる。
・どちらにしていいかわからない状態で補正すると、可愛いかった顔が可愛くなくなったりする。

■補助的な器具を使う
・鉛筆で中心線を引いてみる。
mokeijuku_20081004_27.jpg
わりと正確な方法としては、
1. 部品を平らな台に置く
2. 鉛筆の先を台から少し浮かせて傾けて保持して、部品を回してぐるっと線を引く。
3. 部品をひっくり返して、同じように回して線を引く。
4. 3.と4.で引いた線の中間が、その部品の中心線になる。
鉛筆より、トースカンを使うと楽。

また、円周で線を引く事により、曲面のゆがみや非対称を見つけやすくなる。
ドールヘッドなどしみ込む素材なら、細いマスキングテープなどでも代用可能。

・コンパスで中心線を引いてみる
円の交点を結んで中心を出す方法なんですが…すいません、説明しづらいので下の図から察してください。これは曲面にも応用できます。顔の左右の輪郭にコンパスを立てて、顔の中心を出したりなど。
mokeijuku_20081004_28.jpg

眉間のあたりにコンパスを立てれば、両目の線を等距離に描けたりします(フィギュアは目がでかいので目の中心ではなく、内側・外側の線を測ると良い)。
mokeijuku_20081004_29.jpg

耳側など、側面まで回り込むこともできます。アゴの裏側のライン、ほほの高さのチェックなどにも。
mokeijuku_20081004_30.jpg

・身近にある、水平な直線の前にかざしてみる(窓枠・机の端など)
mokeijuku_20081004_31.jpg

・自作の枠を使う
こういうのです。プラモのランナー(枠状の部分)にドリルで穴を開け、線を十字に張りました。線は、ピンと張れる物が良いので、講義ではストレートロングの受講生の人の髪の毛を使わせてもらいました(枠は最後にその人に進呈)。
mokeijuku_20081004_41.jpg
↑は釣り糸をピンと張って、プラモのランナーに穴を開けて瞬間接着剤で留めたものです。見づらいのでマジックで糸を黒く塗りました。髪の毛や釣り糸は瞬間接着剤が使えます。

こんな風にかざして使います。うむ、何か色々とズレております。
mokeijuku_20081004_43.jpg

OHPシートに線を引いて巻きつけるという話が出てたような気もしますが、良く聞いてませんでした。すいません。


■この後、飛行機状のメカの原型の左右対称処理を行いました。(ほとんど写真NGなのでわかりにくいですが…)
・機体の左右についてるパーツ(機体側面のエアインテークなど)は、片方どちらかのパーツにサイズを合わせる。
この際、左右のパーツ2個を直接あてがって固定し、そのまま接合部ごとヤスリがけて左右対称にする。

・翼など薄物は左右の物を重ねてみてサイズを見たりする。

・薄物の端の余分をペンチでパキパキ切るとき、本体の方にヒビが入らないようにするには?
祈る。(ヒビが入ったときは、祈りが足りない?)
mokeijuku_20081004_32.jpg

・ドム(っぽいロボ)の両足など
両足の内側同士(写真のA+B)を左右対称に、外側同士(写真のC+D)を左右対称にして、戻せば両足が左右対称になる。
mokeijuku_20081004_33.jpg

・飛行機の胴体など、円柱状のパーツで微妙なテーパーのかかっているものは、輪切りにするように
いくつか線を引くと、テーパーのゆがみ具合がわかる。

■その他
・耳と目の位置関係は、メガネのつるで考える。

・耳の位置は本来人種による違いなどが出る場所ではありますが、フィギュアでは一番気にされない場所でもあります。

・フィギュアはメカと違ってポーズが付くし、真正面を向いたフィギュアもあまり多くないので、なおさら左右対称は気にならない。

・左右対称より先に、効果的で見栄えがする事がないか考える(手首をちゃんと造るとか…)

・造り手だから気になるのであって、見る側は気にならない。(自分で買ったフィギュアの左右対称なんて気にならない)

・非対称だけど魅力的なものもある。

・口を開いた顔は非対称が目立つ。

・初心者にありがちなのが、精度を求めすぎて(合わせ目ぴったりとか)ドツボにはまる。それで却ってデッサンが崩れたりすることもあるので、精度を求めるのは上手くなってからでも遅くないです。

・左右同時に進めるのではなく、片方だけきっちり造ってしまい、反対側はそれをトレースするような方法で造りこんで精度を出す方法もある。
製作途中で片側がいい感じになってきたらそっちを仕上げて、反対側もそれに追随させるようなソフトなやり方から、完全に片側だけ造り、緻密さ>>>クリエイティビティのようなA型体質の人に反対側を仕上げてもらう大技まで。

・エポパテやスカルピー等の粘土系素材は「変形させるために押す力」と「過剰な変形をさせないための引く力」のバランスを意識しなければならない。対してポリパテは一方的に押して(削って)いればいいので、扱いとしては楽な素材。

・顔の造形手順(原八さんの場合)
目のくぼみ -> 鼻(盛り足し) -> 口など
この辺は造る人や対象にもよるようです。

・講座ではフィギュアの頭を前後に貼り合わせるが、左右貼り合わせもアリなのでは?
->貼り合わせラインを顔の中心線に合わせられる技術があればいいが、だいたいズレたりナナメになってくるので後々まで接合ラインの悪影響が残る。また左右パーツの色の濃さ(硬化剤混合比)の違いで、目の錯覚が出てきたりとか。
メカのような高い精度が必要な場合はまた別で、プラ板を中心にはさんで左右をセンターからの距離で測って造るような方法もある。

・原八さんがメカ物でもプラ板を使わずにすべてポリパテでやっているのは?
ちょっと盛ってちょっと削る微調整の繰り返しになるので、パテのほうがそういう作業をやりやすい。

・後頭部をうまく作れません。
髪で隠れるからそんなにこだわらなくて大丈夫です。

・ポーズの調整や腕の修正を繰り返してたら、だんだん腕が長くなってきました。
腕は、上腕が肩の入り方と連動していて、ポーズによって長さが変わったりするし、頭の上で組んだりすると頭のサイズや囲んだ空間の大きさの関係から不自然に見えたり、難しい点が多いので、長さにこだわるよりも、ポーズを取った時に全体としておかしくないかを優先するほうがよい。

また、肘から下は、骨が二本入っていて腕の曲げ方やねじり方で形状が大きく変わってくるので、左右対称にはこだわらないほうが良い。


以下、流れ的に発生した色々なお話を時系列無視でざざっと。

■雑誌の撮影時に…
「あ~正面からだと歪んで見えるんで、もうちょっとナナメにしましょう!」
「この角度のほうがかわいいんでもうちょっとこっちで…」
のようなやりとりが。

■メカの設定画があればそこから立体にトレースするのは比較的簡単だが、原型師のニュアンスを入れたい場合などあえてそうしない事もある。

■今回資料として見せていただいた飛行機メカは、機首が鶴首になるタイプ。実在の戦闘機をモデルにしているので、戦闘機の知識を持つ原型師でないと微妙なニュアンスを再現できず、監修者K氏から「ここ、もっと飛行機らしく!」と監修が入る。

機首が直線的なテーパーではなく鶴首なのは、コクピット後部にレーダー装置を内蔵しているためで、そういった内部構造を理解している人間でなければ、戦闘機由来の機体の忠実な再現は難しいと考えられる。さらに、監修者が原型師にそういった事情を説明しない人物なので、しばしば両者間に軋轢が生じる(事が想像できる)。

余談だが、スカイ・クロラのメカデザイナーである竹内敦志氏はそこまで厳密な知識を持たないデザイナーであり、この作品に登場するメカはそういった微妙なメカ的ニュアンスを再現していないものとなっている。この事から、竹内氏を重用する押井守監督についてもそこまではこだわらない人物であることが想像できる。

宮崎駿監督などはこだわるタイプであり、作品内での重要性について宮崎・押井対談などではしばしば議論が交わされる(かもしれない)。

[参考資料(敬称略)]
こだわるよ派
・河森正治
・宮崎駿

こだわらないよ派
・押井守

■若い人はトゥルットゥルって言う…。
フィギュアβコース内で使われた「ツルツル」の水分大目系表現。由来はしょこたん説、なんかの漫画説、ダウンタウンのまっちゃんがハゲてるとこ表現説など。

■年齢別用語の傾向
若者 -> アリエナサス
年寄り -> これわかんねえ

■一般的な名称と誤解されがちな商標
商標(社名) -> 一般的な名称
ゼロックス(ゼロックス) -> コピー機
ホッチキス(マックス) -> ステープラー
エレクトーン(ヤマハ) -> 電子オルガン
キャタピラー(キャタピラー社) -> 無限軌道

以上、お疲れ様でした!
単発講座は密度が濃いっす!

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模型塾は非常に興味があるのですが時間とお金的に参加が難しいのでこういったレポートはかなり嬉しいです^^そしてとてもものすごく勉強になります。無理してでも行ってみようかなあ…

昼間はお疲れさまでした
また難儀な娘ちゃんでありますが よろしくおねがいしまう

左右対称より先に、効果的で見栄えがする事がないか考える(手首をちゃんと造るとか…)

いいこと聞いた! 耳が痛いですw
ついつい細かい事を気にして 全体が疎かになってしまいます
そういう点でも作品に的確なアドバイスをくれる第三者の存在は
貴重な事だと思うのです
もう長い事やってますが相変わらず着地が下手だなぁ
基本的な技術を学びなおしたいです

>DAISOさん
こんにちは。
長々とまとまりの無い文章になってしまいましたが、読んでくださって
ありがとうございます。

そうですよねー。模型塾もコースだとトータルで結構お金がかかりますよね。
日程も基本、土曜のみですし。

ですが、夕方からのフリー枠なら単発で受講(2000円)できますので、
製作中の物を原八さんに見てもらったり、意見を聞かせてもらったり
するだけでもすごく勉強になると思います。

見学だけならいつでも受け付けてますし、もし遠くにお住まいでなければ
都合が良いときにでも一度来てみてはいかがでしょう。
受講生もいろいろな方がいて、刺激になると思いますよ。

>のb さん
今日はお疲れ様でした。今回もぼちぼちと製作記など書きながら
作らせていただきます。

ワタシも客観的な視点が足りんというか、何を優先すべきかってのが
なかなか自分ではわからんというか、瑣末なことにはまりがちですね。

フィギュア塗ってても、思い付きばっかりで、基本的な技術が
穴だらけだよなぁ…ともよく思います。まぁ今まではリビドーの赴くままに
やってきたので当然といえば当然ですがw

今は模型塾のような原型の指導を受けられる場があって、通える環境に
あるっていうのは、我ながら恵まれてるなぁと思います。
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